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日本語の連濁は、長い間国語学界の謎とされてきた
by iwaoka3
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連濁と「名詞と動詞の呼応」
 日本人は対になったものを好む。言葉も対になったものが多い。
名詞と動詞も対になっている。
動詞の連用形は名詞でもあると前に述べた。
「大笑いをした」「皆が笑った」
「お誘いがあれば、伺います」「デートに誘われた」 
「疲れがたまって病気になった」「一日中歩いて疲れた」
のように、名詞形と動詞形が一語の中に含まれている。多くの動詞は「怒り・怒る 茂み・茂る」のように、名詞の形も同時に持っている。
これを「名詞と動詞の呼応」と名付ける。
 
複合語の中にも「旅立ちタビダチ 旅立つタビダツ」「裏切りウラギリ 裏切るウラギル」「遣ツカい込み 遣い込む」のように名詞形と動詞形が呼応するものも多い。その場合名詞「旅立ち」が連濁をおこせば、動詞「旅立つ」も連濁をおこす。名詞「遣い込み」は連濁をおこさないし、動詞「遣い込む」も連濁をおこさない。
連濁においても複合語の名詞と動詞は呼応するし、その意味も同じである。
他の複合語と同じように、名詞と動詞の呼応に於いても前項に名詞がくると連濁をおこす。前項に動詞又は連用形名詞がくると連濁をおこさない。
名詞形と動詞形の意味が違ったり、連濁の違いがある時は呼応ではない。 

単独ではあまり使われない「する」という動詞は、いろいろな名詞と簡単に結び合わせてそれを動詞にする。
しかし、「欲張りする 腹立ちする」とは言わない。それは、名詞と動詞の呼応の動詞形が既にあるからである。この名詞と動詞の呼応は「する」という言葉に制限をつけている。
しかし、「横取りする 名指しする」という言い方もある。最近でも「哲学する お茶する」等と従来使われなかった言い方がどんどん出てくる。

1.連濁をおこす複合語の名詞と動詞の呼応  前項が名詞  
若返り 若返る     気遣い 気遣う     身構え 身構える      
裏切り 裏切る     足掻き 足掻く     手控え 手控える 
心掛け 心掛ける    気付き 気付く     途絶え 途絶える  
区切り 区切る     口説き 口説く     芽生え 芽生える 
勘繰り 勘繰る     芽吹き 芽吹く     裏付け 裏付ける 
頭取  頭取る     裏返し 裏返す     片付け 片付ける 
色取り 色取る     名指し 名指す     心付け 心付ける  
気取り 気取る     目指し 目指す     名付け 名付ける  
日取り 日取る     目覚し 目覚す     筋立て 筋立てる  
横取り 横取る     逆立ち 逆立つ     興醒め 興醒める 
先走り 先走る     巣立ち 巣立つ     目覚め 目覚める   
頑張り 頑張る     旅立ち 旅立つ     跡切れ 跡切れる   
欲張り 欲張る     腹立ち 腹立つ     自惚れ 自惚れる    
形容詞も動詞と同じように、名詞との呼応があり連濁をおこす。
腹黒  腹黒い   気軽 気軽い  身軽 身軽い  気早 気早い  
有り難 有り難い  間遠 間遠い  手近 手近い  生臭 生臭い  

2.連濁をおこさない複合語の名詞と動詞の呼応  前項は動詞 連用形名詞 
見返り  見返る      知合い  知り合う     差支ツカえ 差し支える  
生れ変り 生れ変る    付添い  付き添う     言い換え 言い換える 
言い切り 言い切る    見損ない 見損なう     語り伝え 語り伝える  
貸切り  貸し切る     支払い  支払う      見掛け  見掛ける
仕切り  仕切る      落着き  落ち着く     仕掛け  仕掛ける   
出盛り  出盛る      生れ付き 生れ付く     見せ掛け 見せ掛ける 
差障り  差し障る     差引き  差し引く      呼掛け  呼び掛ける   
受取り  受け取る     打消し  打ち消す     当て付け 当て付ける
買取り  買い取る     勝越し  勝ち越す     言い付け 言い付ける 
切取り  切り取る     引越し  引っ越す     押し付け 押し付ける 
抜取り  抜き取る     見通し  見通す      取付け  取り付ける 
引取り  引き取る     使い古し 使い古す    吹付け  吹き付ける
遣い込み 遣い込む    成立ち  成り立つ     使い分け 使い分ける    
折畳み  折り畳む     仕組み  仕組む      見極め  見極める 
見込み  見込む      差止め  差し止める  (送り仮名は広辞苑による)
例外 
前にも述べたように、「生け捕る 揺さぶる 寝返る 返り咲く」等は前項が動詞で連濁をおこしている。これは本来、呼応ではなかった言葉である。
「寝返るネガエル」も日葡辞書ではネカエルである。また「寝返り」の動詞は「寝返り打つ 寝返りする」ともいう。
他の例も「生け捕りにする 揺さぶりをかける 返り咲きをする」という本来の使い方がある。
「臍繰ヘソクリ」からできた動詞「臍繰る」も、呼応ではない。「臍繰りする」が動詞である。  
これらの例外は、「吹雪く(吹雪) 時雨る(時雨シグレ) 氷る(氷) サボる」のように名詞からできた動詞との混同である。
複合語においても同じことが起ったと考えられる。
「着替キガエ」がそのまま動詞となって「着替キガえる」ともいわれる。「着替キガえする」も使われている。

3.呼応しない名詞形と動詞形 
ここで述べてきたように、前項が動詞の時後項は連濁をおこさない。
この規則が「言掛ガカり」「言い掛カカる」のように、似た意味の言葉でも呼応とならない。「言掛ガカり」を動詞にするときは、「言掛りをつける」となる。
切通しドオシ(キリトオシとも) 切り通すトオス (同じ意味も別の意味もあり)  
打止めウチドメ (終り 最後 特に、興行の終り) 
打ち止めるウチトメル(打ちつけて落ちないようにする 興行を終える) 
言掛りイイガカリ   根もないことを口実にして人を困らせること
言い掛かるイイカカル 言い寄ってかかわりをもつ   
行き掛りユキガカリ  行きかかるついで すでに物事が進行しつつあること   
行き掛るユキカカル  行こうとする 通りかかる 
吹通しフキトオシ    風が吹きぬけること  風の吹き通す所
吹き通しフキドオシ  風がたえず吹くこと 大言や誇張や自慢を言いつづけること
吹き通すトオス  (風などが)向うまで吹きぬける  たえず吹く 
「吹きトオシ」と「吹きドオシ」は、連濁によって意味の違いがよく分かる。
例外  
恋死にジニ 恋い死ぬシヌ  焦れ死に 焦れ死ぬ 焼け死にジニ 焼け死ぬシヌ  多くの場合動詞形は「飢え死にする」のように「名詞形+する」を使う。
「腰掛け 腰掛ける」は腰を掛ける道具と動作で呼応ではない。 
「息急セき 息急セく」も動詞は「息急きを切る」となる。名詞は息をはずますことであるが、動詞はひどく急ぐ様にもいう。 
このように、名詞と動詞が呼応する場合は、「する」を使うことができない。「する」や他の動詞が使える言葉は呼応ではないといえる。 

四、形容詞と連濁
形容詞も形容動詞も基本的には名詞の扱い(語幹)である。
形容詞+形容詞は動詞+動詞のように終止形の形で、連濁をおこさない。
重苦しい 暑苦しい 堅苦しい 狭苦しい 古臭い 甘辛い 
連用名詞形+形容詞は連濁をおこす。
この形容詞も従来接尾語といわれているが、本書では形容詞とする。
他の形容詞と異なるところは、人間に関する事柄にのみ使われるところである。
連濁をおこす動詞が人間の「振舞」や「状態」を表したように。
有り難い 得難い 及び難い 耐え難い 度し難い 抜き難い 分ち難い 
回り遠い 慎み深い 言い辛いヅライ 読み辛い 見辛ヅライ  
by iwaoka3 | 2010-04-29 22:07
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