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日本語の連濁は、長い間国語学界の謎とされてきた
by iwaoka3
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連濁と前項が名詞の言葉
一、前項が名詞の言葉 
連濁は前項が名詞の時におこる。
1.名詞+名詞 は連濁をおこす (前項は後項の説明、又は形容の役をする)
表1. 名詞+名詞
素顔 石垣 雨傘 砂肝 目薬 歯車 赤毛 歌声 恋心 猫舌 油蝉 梅酢 川底 星空 石畳 横綱 人手 尼寺 山鳥 青葉 蜜蜂 花火 宝船 胃袋 箒星 魚河岸 和菓子 平仮名 大相撲 小太鼓 卸問屋   
表2. 連用形名詞+名詞
乱れ髪 包み紙 有り金 抜け殻 浮き雲 逃げ腰 帰り車 及び腰 秘め事 食べ頃 握り鮨 生け垣 受け皿 移り気 売り声 押し花 教え子 替え玉 当り年 渡り鳥 流れ星 落ち葉 割り箸 押し花 笑い話 送り火 待ち人 詠み人 助け船 流れ星 抜け殻 笑い話 似顔 
  
表3. 名詞+連用形名詞 
日帰り 心懸け 人聞き 枠組み 裏ごし 歯応え 日差し 手締め 横好き 用済み 城攻め 横倒し 袋叩き 人頼み 肝試し 鷲掴み 手作り 紙包み 宮仕え 日照り 雪解け 足取り 先取り 上履き 冬晴れ 値引き 命拾い 黒光り 足踏み 身振り 本降り 目減り 陰干し 自惚れ 身代わり 仮名書き 四季咲き 

表4. 連用形名詞+連用形名詞 
行き掛け 走り書き 放し飼い 盗み聞き 立ち食い 働き盛り 遊び好き  聞き捨て 行き摩り 巻き添え 書き初め 行き倒れ 隠し立て 吹き溜り  食い溜め 働き通し 酔い止め 生け捕り 選り取り 延べ払い 買い控え 待ち伏せ 見掛け倒し 言イイ掛り 見栄え 着替え 見応え 寝冷え 寝惚け

複合語の場合、前項の動詞連用形が動詞として扱われるか名詞として扱われるかは、後項にくる言葉で決まる。表2・表4のように後項に名詞や動詞連用形がくれば、前項の動詞連用形は名詞として扱われる。
動詞と動詞「立ち聞くキク」が連濁をおこす時は、「立聞きタチギキ」のように「聞く」が連用形名詞に形を変えて「聞き」となる。そうなると、前項の「立ち」は名詞として扱われる。
「通りがかり 選り取ドり 通い詰ヅめ 聞き捨ズて 焼け死ジに」等は後項の動詞が連用形名詞の機能を表すので、連濁をおこした例である。
これらの例の後項が動詞ならば、「通りかかる 選り取トる 通い詰ツめる 聞き捨スてる 焼け死シぬ」となる。
ただし、前項に名詞や連用名詞形がきても、全ての言葉が連濁をおこすわけではない。連濁をおこす言葉と連濁をおこさない言葉がある。 
                  
2.名詞+動詞は全て連濁をおこす。  振舞・状態を表す 
動詞とは
「事物の動作・作用・状態・存在などを時間的に持続し、また時間的に変化して行くものとしてとらえて表現する語」といわれている。
動詞が表す言葉には次の四つの意味がある。
動作を表す動詞が多く、「歩く 食べる 寝る 考える ~する」等がある。
作用を表す動詞は「薬が効く」「鉄が錆びる」「魚が腐る」「洗濯物が乾く」
状態を表す動詞は「山がそびえる」「秋の空が澄む」「星が光る」「柿がなる」
存在を表す動詞は「ある」「いる」。「ない」は形容詞
前項に名詞がきた時のみ、後項の動作を表す動詞は全て連濁をおこす。
この場合前項の名詞とは、いわゆる名詞と形容詞の語幹で連用形名詞ではない。
後項が動詞なら、前項の連用形は動詞連用形となるからである。
日本語には形容詞が少ないので、人の態度や様子を表すのに名詞と動詞が結びついた。それが動作を表す動詞と区別をするために連濁をおこした。
形容詞にはク活用とシク活用がある。
「高く 長く 細く 寒く」等ク活用の形容詞は様子・状態を表す。
「美しく 楽しく 悲しく 苦しく」等シク活用の形容詞は情意を表す。
このように、形容詞は活用によってその意味の違いを表している。
動詞と動詞が結びついて人の「立ち居」を表し、これは連濁をおこさない。
名詞と動詞が結びついて連濁をおこし、人の「様子・振舞」を表す。
「気取る=様子振る=容体振る=勿体振る=体裁振る」これは動詞が連濁をおこして、人の態度・振舞を表している。これらの意味はほとんど同じで「いい格好をする」という人の態度や振舞を表している。
後項の作用や状態を表す動詞「乾く 光る」等は連濁をおこさないし、複合語の用例があまりない。 
「根腐クサる(根腐グサれする)」「真面目腐る」等がある。

イ.様子・状態を表す言葉  
表5.
荒立つ 先立つ 目立つ 芽立つ 長引く 片付く 近付く 根付く 黄走る 赤み走る 嵩カサ張る 強コワ張る 活気付く ごった返す 棚引く 重立つ 表立つ 泡立つ 逆立つ 波立つ 色取る 裏切る 名付ける 
(横切る 空を横切る雲のように様子や状態を表していた)   

ロ.人の様子・振舞・態度を表す言葉 
「腹が立つ」「意地を張る」等は助詞が脱落して一つの言葉となる時、連濁をおこした。そして人の動作ではない別の意味を表した。
連濁をおこす動詞は「…のような状態である」「それらしい様子をする」「…のようなふりをする」といった意味になる。
表6.
偉エラぶる 通ぶる 悪振る 威張る 格式張る 頑張る 鯱シャチホコ張る 芝居掛かる 欲張る 骨張る 気張る=意気込む=気色ばむ 色気付く 知恵付く 調子付く 
手掛ける 目掛ける 勢い付く=活気付く 怖気オジケ付く 感付く 気付く 産気付く 自惚れる 役立つ   
気取る=様子振る=勿体振る=体裁振る 才気走る 際立つ=目立つ=事立つ=角カド立つ 息詰る 
手間取る 力付ける 腹立つ 先走る 苦み走る 口走る 才気走る 値切る 殺気立つ 連れ立つ 頬張る 
言付けるコトヅケル(前項が動詞の時は、言い付けるイイツケル) 
連れ立つ(お連れさん 能のツレ のように名詞として使われている 連立つか) 

ハ.接尾語  
「泡立つダツ 波立つ 際立つ 目立つ 殺気立つ 浮き足立つ」等この「だつ」は、従来接尾語といわれることが多かった。
接尾語=接尾辞とは「ある語の末尾に添えて、意味を加え、またはある品詞に一定の資格を与えるもの」とある。接尾語に対する定義と範囲が曖昧である。
この「だつ」には動詞本来の「立つ」の意味がある。従って、この後項の動詞は接尾語ではなくて動詞が連濁をおこした言葉である。この動詞は動作を表すのではなく、振舞や状態を表す言葉である。
「立つ」には次のような意味がある。
①事物が上方に運動を起してはっきりと姿を現す。波・風などがおこる。
②物事があらわになる。はっきり現れる。人に知れわたる。人に注目される。
③作用が激しくなる。はっきり示される。  
④たてに身を起す。出発する。
⑤物が一定の所に、たてにまっすぐになって在る。  
⑥物事がなり立つ。

「色気付ヅく 格式張バる 通ぶる」も接尾語といわれているが、そうではなくて本来の動詞が連濁をおこした言葉である。

動詞には本来の働きをする動詞の他に、補助的な働きをする動詞がある。
「宿題をしてしまう」「書類を机の上に置いておく」「氷が溶けていく」
「銀行に行ってくる」「ビールを冷してある」「新聞を毎日読んでいる」
等がその例で、補助動詞とよばれる。これは本来の動詞に付け加えて、本来の動詞では表すことのできない時間的な継続や意味を添える補助的な役割をする。
古典語には「き けり つ ぬ たり けむ たし」のような、助動詞が使い分けられていた。現代語ではこのような助動詞がなくなり、「た」のみになった。
「宿題をする」「書類を机の上に置く」「氷が溶ける」「銀行に行く」「ビールを冷やす」「新聞を毎日読む」では、時間的な幅やテンス・完了や経験等が表せない。そこで、動詞の補助説明のために、補助動詞が使われるようになった。
複合語においては従来接尾語といわれた連濁をおこす動詞は、動作を表す動詞が連濁をおこしたものである。その表す意味は動作ではなく、人の振る舞いや様子や一般的な状態等形容詞のような役割を果たす。
連濁をおこさない動詞は「動作・作用・存在」を表し、連濁をおこす動詞は「状態(時間的な持続)」を表す。  
連濁をおこす動詞は、後項の言葉が意味を添えるのではなく、主たる意味を表す。それは本来の動詞であるからで、付け足しではない。日本語はある言葉の修飾の部分はその言葉の前に前にとくる。大切な陳述の部分は最後に来る。
「私は行きます」「私は行きません」のように、決定的な事柄は最後にくる。  
by iwaoka3 | 2010-02-15 21:49
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